通訳の仕事を始めてから、人の会話や発言の中で今まで意識をしなかった点に注意をしてきくようになったものがいくつかあります。その中の一つは、話者や会話にでてくる人のお名前です。
自分が自己紹介をする時に気づいていなかったのですが、今までおそらく何百万回も言ったことのある自分の名前は言い慣れているせいか、とても早く口から出てきます。
それを自分の名前を聞きなれていない人が聞いた時、思った以上に聞き取りにくいのです。
もちろんお名前を間違えられないので、事前に準備をして臨みますが、それでも目で見たスペリングと音の違いにびっくりすることもしばしばです。
私の名前も日本ではよくあるものですが、海外に行くと見慣れないスペルと音の組み合わせに、なかなか聞き取りや発音がしづらいと言われたこともあります。おそらくそれは、どんな名前でも、なじみのない音であれば起こることなのでしょう。
先日8ヶ国のパネリストが参加する英語の会議の通訳を担当させていただきましたが、自己紹介や名前が発言時にでてくる際には、聞き慣れない音はパッと耳に残りにくいので、議論の時と違う緊張感を自分の通訳時に感じました。
業務上の経験をもとに、自分の日常生活でも、問い合わせを電話でする時などは、少しゆっくりめに名前をいうようにしています。コールセンターや問い合わせ窓口の方々はだいたい一回で名前を聞き取り復唱して、そこから情報を検索してくださるので、すごいなと思います。
名前は日常的に使うからこそ、どう話し聞こえるかは意識しづらく、聞き取りにくいものです。4月は新年度の始まり。たくさんの新しい出会いの中でも、しっかりとお名前に耳をすませていこうと思います。
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